最高裁判所第二小法廷 昭和40(あ)393 判決
主 文
本件各上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人Cの負担とする。
理 由
被告人Aの弁護人佐藤義弥、同駿河哲男の上告趣意第一点について。
所論中判例違反の主張は、引用の判例はいずれも事案を異にし本件に適切でない
からその前提を欠き、その余の論旨は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、
刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。
同第二点一について。
所論は、違憲(三七条三二条三一条)をいうが、第一審で無罪を言い渡された被
告人に対し、原審が事実の取調をした結果第一審の無罪判決を破棄し有罪の自判を
なしても違憲でないこと、並びに、事実審査を第二審限りとし上告理由が刑訴法四
〇五条により制限されている関係上第一審の無罪判決を破棄自判により有罪とした
第二審判決に対し上訴によつて事実誤認等を争う途が閉されているとしても違憲で
ないことは、当裁判所の判例(昭和三一年七月一八日大法廷判決、刑集一〇巻七号
一一四七頁、昭和三一年九月二六日大法廷判決、刑集一〇巻九号一三九一頁、昭和
二三年三月一〇日大法廷判決、刑集二巻三号一七五頁)の趣旨とするところである。
所論は採るを得ない。
同二について。
所論のうち、憲法三一条違反をいう点は実質は単なる訴訟法違反の主張に帰し、
憲法三八条に違反するとの点は、原判決は第一審無罪の判断を覆して有罪とした事
実につき被告人の自白のみならずその他の証拠能力のある証拠に基いて認定してい
ることが判文上明白であるから前提を欠き、その余の所論は、事実誤認、単なる法
令違反の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。
- 1 -
同三について。
所論は判例違反をいうが、引用の福岡高等裁判所判決は事案を異にし適切でなく、
また原判決は何等所論引用の大法廷判決と相反する判断を示していないから、判例
違反の主張は前提を欠き、適法な上告理由に当らない。
同四について。
所論は、事実誤認の主張で適法な上告理由に当らない。
同第三点について。
所論違憲の主張は実質は単なる訴訟法違反の主張であり、その余の所論は、事実
誤認の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
同第四点について。
所論は、違憲をいう点もあるが実質は量刑不当の主張であつて、適法な上告理由
に当らない。
被告人Bの弁護人中村銀作の上告趣意について。
所論のうち判例違反の主張は、引用の判例は本件と事案を異にし適切でないから
前提を欠き、その余の所論は、違憲をいう点もあるが実質は量刑不当の主張であつ
て、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。
被告人Bの弁護人戸倉嘉市の上告趣意について。
所論は、単なる法令違反、量刑不当の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由
に当らない。
被告人Cの弁護人久埜茂の上告趣意について。
所論は、単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張であつて、刑訴法四〇五条
の上告理由に当らない。また記録を調べても刑訴法四一一条を適用すべきものとは
認められない。よつて同四〇八条、被告人Cにつき同一八一条一項本文により裁判
官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
- 2 -
昭和四〇年一二月一七日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
裁判官 草 鹿 浅 之 介
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 石 田 和 外
- 3 -